デジタル化を進め、労働生産性向上や業務効率化を図るためのITツール導入費用に利用できる「IT導入補助金」。
本ページでは、IT導入補助金の概要や活用イメージ、利用要件、スケジュール等についてわかりやすく解説しています。
IT導入補助金の概要
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者等が行う生産性向上に向けたITツール導入費用を支援するための補助金です。
デジタル化により業務効率化や労働生産性、業務プロセスの改善を図るための投資費用に対して補助を受けることができます。
事業の目的や対象業種、対象経費などは以下の通りです。(※抜粋して記載しているため詳細は公募要領をご確認ください。)
項目 | 概要 |
---|---|
事業目的 | 中小企業・小規模事業者等の生産性向上に向けたITツール導入費用を支援 |
対象業種 | 製造業、建設業、運輸業、旅館業、卸売業、サービス業、小売業、ゴム製品製造業、ソフトウェア業又は情報処理サービス業、医療法人、社会福祉法人、学校法人等の中小企業・小規模事業者 |
対象経費 | ソフトウェア購入費、導入関連費 ※あらかじめ事務局に登録された、IT導入支援事業者が提供するITツールのみが対象となります ※顧客対応や決済、在庫供給、財務会計、労務人事等の業務プロセス改善に寄与するITツールのみが対象となります |
申請類型 | A類型 ・1 種類以上の業務プロセス※を保有するソフトウェア ・賃上げ目標は加点項目(必須ではない) B類型 ・4種類以上のプロセス※を保有するソフトウェア ・賃上げ目標は必須項目 ※顧客対応や決済、在庫供給、財務会計、労務人事等の業務プロセス |
補助金額 | ・A類型 5万円~150 万円未満 ・B類型 150 万円~450 万円以下 |
補助率 | A類型・B類型ともに1/2以内 |
IT導入補助金を申請する際は、「IT導入支援事業者」と連携しながらITツールの導入を推進し、「IT導入補助金事務局」に補助金の申請を行う構図になっています。
IT導入支援事業者は補助金事務局に登録されたITツール導入を支援する事業者で、以下のような支援を行います。
・ITツールの導入
・申請サポート
・補助事業遂行のサポート
IT導入補助金の活用イメージ
IT導入補助金は、製造業、卸売業、飲食業、病院、学習塾など、多様な業種にて様々な活用例があります。
以下に活用イメージの例をまとめていますので、申請の際のイメージを持つために参考にしてください。
IT導入補助金活用の際には、「自社が抱える事業課題に対して、ITツールを導入して業務プロセスを改善することで生産性向上や効率化が図れる」といったストーリーを意識すると事業計画書の策定がスムーズに進みますのでその点を意識しましょう。
ホテル・宿泊業における活用イメージ
・ホテル予約サイトから集客しているが、複数の予約サイトの更新業務に多くの時間がかかっている
・そのため、メニュー開発や販促業務などのコア業務に時間を割くことができていない
課題となっていた業務プロセス
・顧客対応、予約管理
対応策
・各予約サイトの更新業務を一括で行えるITツールを導入
導入ツール
・予約一元管理システム
効果
・予約管理にかかる時間を削減し、労働生産性が向上
・集客や新サービス開発などのコア業務に時間を割けるようになった
美容院における活用イメージ
・リピーター客の確保が重要だが、顧客対応や予約管理、販売促進の業務に対して手が回っていない状況であった
・人手も足りておらず、業務が後手後手に回ってしまいリピート率も徐々に下がっていた
課題となっていた業務プロセス
・顧客対応、販売支援
対応策
・LINE上で顧客対応や予約管理、販売促進が行えるITツールを導入
導入ツール
・LINE接客システム
効果
・予約管理にかかる時間を削減し、労働生産性が向上
・集客や新サービス開発などのコア業務に時間を割けるようになった
IT導入補助金補助金の申請要件
IT導入補助金の申請の際には、指定された要件をすべて満たす必要があります。
ここでは、主な要件を抜粋して取り上げます。
なお、申請の際には、公募要領ですべての要件を確認するようにしましょう。
<申請要件>※公募要領より一部を抜粋
IT導入補助金2023 公募要領
- 労働生産性の伸び率の向上について、1年後の伸び率が3%以上及び3年後の伸び率が9%以上の実現可能かつ合理的な生産性向上を目標とした計画を作成すること
- IT導入支援事業者と確認を行ったうえで、生産性向上に係る情報(売上、原価、従業員数及び就業時間、給与支給総額(※)、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)等)を事務局に報告すること
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」又は「★★ 二つ星」いずれかの宣言を行うこと
- 中小企業庁が実施するデジタル化支援ポータルサイト「みらデジ」における「みらデジ経営チェック」を交付申請前に行った事業者であること
- 本事業の B 類型に申請しようとする者(下記(注)の適用外の者は除く)は、以下の要件を全て満たす3年の事業計画を策定し、実行すること。
一 交付申請を行う時点で、以下の二及び三に規定する賃金引上げ計画を策定し従業員に表明していること。
二 事業計画期間において、給与支給総額*1を年率平均1.5%以上増加させること。ただし、被用者保険の適用拡大*2の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加させること。
三 事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること。
IT導入補助金のスケジュール
IT導入補助金の公募要領掲載から申請、補助金受領までのスケジュールは以下の通りです。
補助金の交付決定前にITツールの契約や支払いを行うと補助金を受けることができなくなるため、細部のルールに注意が必要です。
スケジュールを正しく捉えて、スムーズな申請と活用を行えるようにしましょう。
IT導入補助金に関するよくある質問
IT導入補助金に関するよくある質問をまとめています。
申請においては細かい条件が定められているため、都度確認しながら進めるようにしましょう。
- 補助金の対象となるITツールはどのようなものですか?
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クラウドサービスの利用、会計システムの導入、顧客管理システム(CRM)の導入など、業務効率化やサービス向上に資する様々なシステムやサービスが含まれます。
ただし、IT導入支援事業者が補助金事務局に事前に登録したITツールのみが対象となりますのでご注意ください。 - 審査ではどのような点がみられるのですか?
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「自社の課題を捉えられており、ITツール導入による業務プロセスの改善の方法を効果を示せているか」「継続的な生産性向上に取り組んでいるか」「働き方改革やセキュリティサービス等の国が推進する政策に対する取り組み姿勢」などがみられます。
ITツール導入により生産性向上が図れ、事業成長や改善に繋がる点を強調しましょう。 - ホームページやECサイトの制作は補助経費の対象になりますか?
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IT導入補助金では、ホームページやECサイトの経費は対象外となります。ただし、小規模事業者持続化補助金では対象となることがあります。
- 以前にIT導入補助金の申請して不採択になったのですが、再度申請することは可能ですか?
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はい、可能です。
事業計画書を再度練り直して申請することで採択確率が上がる可能性がありますので、今一度見直して応募するとよいでしょう。